1年の祈願のための「サンカルパ瞑想」では、祈願を種にして「チャクラ」に埋め込むという作業を行います。この「チャクラ」とはどんなものなのか、その役割や意味についてご紹介します。
脊柱に並ぶエネルギーのセンター「チャクラ」
ヨガは人間という存在について、そしてその人生について、仏教に基づいたユニークな視点を持っています。
「チャクラ」という概念もその一つ。
ヨガでは、人の体内では脊柱に沿って7つのエネルギーのセンター「チャクラ」が並んでいるとされます。「車輪」という意味があり、私たちの精神、体、エネルギーに影響を与えます。
そしてアサナ、呼吸法、瞑想を通じてチャクラが静粛な状態を保ち正しく機能することで、心身が健やかになり、人生が豊かになるとしています。
チャクラのある場所
- ストゥーラ・シャリーラ(肉体)
- 食物鞘 ( アンナマヤ・コーシャ )
肉体の部分
- 食物鞘 ( アンナマヤ・コーシャ )
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スクシュマ・シャリーラ(微細体)
- 生気鞘 ( プラーナマヤ・コーシャ )
エネルギー層 - 感情鞘 ( マノマヤ・コーシャ )
思考と感情を経験する層 - 理智鞘 ( ヴィジュナマヤ・コーシャ )
直感と霊感の層
- 生気鞘 ( プラーナマヤ・コーシャ )
- カーラナ・シャリーラ(原因)
- 歓喜鞘 ( アーナンダマヤ・コーシャ )
宇宙的知性の層
- 歓喜鞘 ( アーナンダマヤ・コーシャ )
マントラ・ヤントラ・ムドラ
【マントラ】
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マントラ(MANTRA)とは「聖音」を意味する。 神性の意識の象徴であり、チャクラにもそれぞれマントラがある。 特に単音・根音のことを「ビジャ(元となる音)マントラ」という。 |
【ヤントラ】
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ヤントラ(YAMTRA)は神性を象徴する形を意味する。 対象物を示す「ヤム(YAM)」と束縛からの解放を意味する「トラ(TRA)」が語源である。 チャクラもそれぞれにヤントラを持つ。 |
【ムドラ】
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ムドラとは手で作るハンドジェスチャーのこと。 指1本ずつそれぞれに内臓とのリンクや5大要素との関連がある。 そのため、手の指の組み方によって多種多様なエネルギーが生み出される。 手はコミュニケーションのチャクラ「ヴィシュッダチャクラ」に属するため、意志を伝えることに使われる。 |
チャクラの種類
主なチャクラは7つあります。それぞれについて解説します。
地上で生きる力「ムーラダーラチャクラ」
背骨の一番下にあり「第1チャクラ」と呼ばれる部分。
「ムーラダーラチャクラ」の「ムーラ・アーダーラ」とは、インドの古い言語「サンスクリット語」で「根を支えるもの」という意味を持ちます。
体の部位では、坐骨、恥骨、鼻骨をつなぎ骨盤の下にハンモック状に備わる骨盤底筋群にあると言われています。
排泄器官と連動し、外に出す力である「アパナヴァーユ」というエネルギーと密接に関係しています。
生存本能、経済力、独立心、体への意識や自己の存在意義と関わる部分です。快適な衣食住を見つけるために重要な部分です。
マントラ | ラム(LAM) |
ムドラ |
親指を足の付け根に押し込む。 |
ヤントラ |
赤色の霧 金色の四角(東西南北) 4枚の蓮の花びら 7本の虹色(上のチャクラを表す)の鼻の白い象 トグロを巻いたクンダリーニシャクティ(*) |
*クンダリーニシャクティとはムーラダーラ・チャクラで眠る神聖なエネルギーのことで、深い瞑想によって覚醒するとサハスラーラ・チャクラへ上昇し、シヴァと結合する。
生み出すエネルギー「スヴァディシュターナチャクラ」
骨盤にあり「第2チャクラ」と呼ばれる部分。
「欲求」「好き嫌い」「パートナーシップ(1対1の関係性)」、また水の要素とつながり、変化への適応能力とも関連します。
体の部位では骨盤にあると言われています。
循環器官と関連し、全身をめぐる「ヴィヤナヴァーユ」と関連しています。
自分の中の水を潤すパートナーとの関係や、変化に順応する力に影響します。
マントラ | バム(VAM) |
ムドラ |
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ヤントラ |
オレンジ色のもや 白い丸の中に銀色の三日月(明と暗・好き嫌い) 6枚の蓮の花びら ワニ(男性の滋養強壮剤) |
意志の力「マニプラチャクラ」
「宝石の街」という意味の名前を持つ第3チャクラ。
このチャクラは社会の中で活動する意志とつながるとされています。
内側を照らす光「テジャス」や消化の火「アグニ」と関連し、消化と代謝を司る部分です。
体の部位ではへそ、鳩尾、腹部、背骨の中央付近、消化器官あたりに位置するとされています。
プラナとアパナの2つのヴァーユ(風)の結合から生じる「サマナヴァーユ」と関連します。代謝・消化、思考を司ります。
乱れると自分の意志や意見に固執したり、弱まると行動力が減退しやすくなります。また情熱を持って生きるエネルギーに関連します。
マントラ | ラム(RAM) |
ムドラ |
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ヤントラ |
黄色いもや 下向きの赤い三角(炎) 10枚の蓮の花びら ツノのある牡羊 |
愛情のセンター「アナハタチャクラ」
胸、心臓、胸椎にあり、鎖骨、胸骨、肩甲骨とも関連します。
胸から鼻の間をめぐり、生命のエネルギー「プラーナ」を体内に循環させるプラナヴァーユと関連します。
他者や自分への愛情とつながります。
このチャクラで生まれる「心の雲」を風(ヴァーユ)で動かし、内側に光を取り戻すのがヨガの目的でもあります。
マントラ | ヤム(YAM) |
ムドラ |
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ヤントラ |
エメラルドグリーンのもや 薄い水色の上向きと下向きの三角形を重ねた星形 12枚の蓮の花びら 鹿(鹿を呼ぶ笛=音のない音) |
コミュニケーションの力「ヴィシュッダチャクラ」
「強い浄化」を意味するチャクラ。
コミュニケーションのセンターとして、人との対話だけでなく、自分自身のアナハタチャクラで生まれた「音のない音」としての感情を聞き取り、言葉にして伝える力と関連します。
また、自分自身の内側にある本来の自分・神聖な部分との対話とも関係しています。
鎖骨と肩甲骨、喉に位置するとされています。頚椎とも関連しています。
手足では下に向かい、喉から頭頂にかけては上に向かうウダナヴァーユと関連し、エネギーの高揚や情報伝達と関わります。
コミュニケーション力と関わります。
またこのチャクラのバランスが整うと、太陽のエネルギー「シヴァ」のもとへ月のエネルギー「シャクティ」が上昇しやすくなり、深い瞑想を体験できます。
マントラ | ハム(HAM) |
ムドラ |
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ヤントラ |
青い霧 青みがかった灰色のしずく型 16枚の蓮の花びら 鼻を上にあげた白い象または灰色の象 |
アジュナチャクラ
直感、インスピレーション、洞察力を司る「第三の目」と呼ばれるチャクラ。
私たちが目と心で読み取った現実を認識するために、その映像を投影する場所であり、思考を司っています。
また顎や横隔膜の動きと関連する場所なので、呼吸のコントロールセンターでもあります。
蝶形骨という、頭蓋骨の視神経が重なるところに位置するとされ、周囲の筋肉を通じて顎や横隔膜とも繋がるとされています。
呼吸、思考、そして私たちの体内で生命エネルギー・プラナが移動する通路「ナディ」を管理しています。
霊感や透視力が強まるとされています。
ビジャマントラ | クシャム(KSHAM) |
ムドラ |
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ヤントラ |
瞬く星のような光、5光を放つ光、紫色のうずまき 2枚の蓮の花びら |
サハスラーラチャクラ
頭頂の泉門にある「宇宙の叡智とつながる場所」。
赤ちゃんの時代にはまだ頭蓋骨が未完成なので開いているとされています。
頭頂の泉門にある「ブラフマンドラ」の中の、両耳の頂点を結んだところから指2本分手前に位置するとされています。
瞑想によってこの部分でシヴァ(太陽のエネルギー)とシャクティ(月のエネルギー)が融合します。この体験がヨガの最終目的でもあります。
シヴァとシャクティの結合により、現実を超越した高い精神世界を体験できるとされています。その経験が現実の生活にバランスをもたらします。
ビジャマントラ | オム(OM) |
ムドラ |
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ヤントラ |
千枚の蓮の花びら |
次回は…
次回はそれぞれのチャクラが人生に影響する意味について、もう少し苦掘り下げてご紹介していきます。