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インド旅④

パンチャカルマを終えて


 

ここではパンチャカルマを終えたあとの体調や、インドで購入したもの、また今回のツアーでご一緒した方々との印象的なエピソードなどをご紹介します。

パンチャカルマによる効果・変化


2週間が経ちいよいよ最終日。

 

体重を測ると2キロほど減っていました。

 

変化したのは体重だけではありません。

インド滞在中も毎朝いつも通りヨガの練習をしていたのですが、3日ほど経った頃から筋肉や関節が柔らかくなってきているのを感じていました。

 

また不思議なことに、いつもかなり低血圧なほうなのですが、この間はほぼ普通程度の血圧まで上昇していました(問診時に毎日血圧を測ってくれます)。

 

 

パンチャカルマの最終日、実は採血をしてもらえることになっていたのですが、前夜よく眠れなかったため辞退してしまいました。前夜、突然いろんな感情が湧いてきて、全く眠れなくなってしまったのです。

そうした感情の起伏も、パンチャカルマの一種のデトックス作用だったのかもしれません。

 

写真は最終日前にショッピングモールに買い物に行く際、病院で持たせてくれた水とおやつ(ゴマがかかった丸い雷起こし風で到着日にも出してもらいました)。

養生食を意識した食生活を、帰国後もしばらく続けるよう指示されました。

耳のトラブル

実は、カルナプールナという耳にオイルを入れる施術を受けた際、左耳の奥の方にオイルが残った感じがして聞こえづらい現象が起きました。

 

初日はしばらくしてオイルが抜けたのですが、翌日から抜けなくなり、聞こえにくい状態が続いてしまいました。

 

原因は耳垢。

 

左側だけ奥の方に耳垢があり、熱いオイルを入れることで溶けて鼓膜近くまで降りてしまったことによるものでした。

 

その解消のために受けた治療がユニークでした。

 

  1. 湯たんぽを耳に当てる。
    普通の湯たんぽを耳に当てる。

  2. 薬草の煙を耳に当てる。
    小さな火鉢で薬草を燻り、紙を丸めた筒からその薬草の煙を耳の穴に入れるというもの。原始的なようでいて、実はそういう治療のためのグッズもあるらしいと帰国してから知りました。

最後はたまたまいらした耳鼻科の先生に診ていただいたのですが、洞窟に入る探検隊のような大きな懐中電灯を額につけ、かなり鋭いキリのようなメスで耳の中を引っ掻いていただいたら奥から耳垢が少し取れて、「これだね」と原因が判明。

 

しかし、軽く出血してしまったので、治療は帰国後にしました。

日本の耳鼻科でバキュームのような機械を当ててもらい、水で洗浄していただいてスッキリしました。

 

実は子供の頃から中耳炎や外耳炎を繰り返していたので、特に左側は耳の奥の方まで耳垢掃除をするのが怖く表面だけで誤魔化していたのですが、今回のトラブルのおかげで耳の中がすっかりきれいになりました。

久しぶりの風邪


14日間の滞在を終えて帰国の途につきました。

行きは皆さんと一緒に羽田→デリー→プネーと移動したのですが、帰りは私とツアーでご一緒した皆さんはバンガロールから成田の航路を選ばれ、私と数人の方々が行きと同じデリー経由で羽田に帰りました。

 

ANAの飛行機は快適でしたが、後ろの席の方が頻繁にくしゃみをしているのが少し気になっていました。

 

そしてようやく早朝6時前に羽田到着。

とても元気で気分も良く帰宅後すぐに片付けや荷解きも終えたのですが、翌朝、喉が灼熱のように熱くひりつく状態に。

 

7〜8年ぶりの風邪でした。

 

パンチャカルマの治療で体力も免疫力も消耗していたのでしょう。

これでもかというほどくしゃみが出て、熱も38度くらいまで上がり、ややぐったりしながら数日を過ごしました。

 

結果的に、最後の最後になって仕上げのデトックスの時間を過ごせた気がします。

 

写真:
今回の旅の荷物。ほぼ3日分程度で黒いナイロンバックは折り畳み式の予備バックです。身軽な点は良かったのですが、もっと大きなスーツケースにすればもっとお土産を買えたのに…という感じでした。

インドで購入したもの


もともと買い物をあまりしない上、基本的にどこに行くにも荷物が少ない私。

生徒さんのため以外にお土産を買うという発想もあまりなく、入院着も用意されているということで、着ていった服以外にもう1セット着替えを持っていった程度の、2週間の旅にしては超軽装備で出発してしまったので、現地で買うものをかなり取捨選択する結果となりましたが、おそらくそれも私のカルマなのだと思います。

 

それでもこの3つのバックにパンパンに買ったものやお土産を入れて、品川駅では重すぎて駅の階段を降りられない状態でした。

 

ということで、そんな購入品をご紹介します。

オイル


今回入院していたBSTDと隣接するアタルバ製薬のオイルを、脈診などで勧められた私自身のコンディションを整えるために必要なものとして購入しました。

  • ジャタマンシータイラオイル(後列右)
    新約聖書てマグダラのマリアがイエスの足に塗ったとされる「ナダルの香油」がこのオイルとされています。

    大変高価で貴重なオイルで、インドでもBSTDに隣接した「アタルバ製薬」を含めて2箇所でしか作られていません。

    このオイルはサダナンダ先生の脈診で勧めていただいた頭頂にオイルを浸す「シロー・ピチュ」のためのオイルです。

  • イェスティマドゥタイラオイル(後列中央)
    今回のパンチャカルマでアヴィヤンガとナスヤで使われていたオイル。ヴァータを鎮めるとされており、帰国後も毎日使っています。

  • CBLタイラオイル(後列左)
    万能オイル。参加者の方からお勧めいただいて購入しました。

  • マハーラーヤナオイル(前列小瓶)
    大変高価なオイル。こちらも万能オイルとして有名。

食品


BSTD内で作られているハーブやジャムなどを購入。全部ビニールケースに入っているだけの質素な包装なので、帰国後家にある瓶に詰めて保管しています。

  • レモンピール(左)
    毎日の食事の時にも何度か提供されたレモンピール。ちょっとクセになる味です。

    本当はチリ入りのかなり強烈に辛味のあるものが欲しかったのですが在庫がありませんでした。

  • グルカンド(中央)
    薔薇のジャム。BSTD内のバラ園でとれた薔薇の花びらと氷砂糖をミルフィーユ状にして作ったものだそう。

    薔薇にはクールダウンの効果があり更年期の女性には特に重宝するもの。

  • ギー(右)
    BSTDの敷地内で飼われている牛から取れるA2ランクの牛乳で作られたギー。

    ギーはインド料理には欠かせないオイルであり、世界で最も良質なオイルともされています。

粉物


日本では手に入りにくいインドの食材。気になったものをショッピングモールに行った時にスーパーで買ってきました。

  • スージ粉(左)
    パンチャカルマの合間にインド料理のお料理教室を開催していただき、そこで習った「シーラ」という甘いお菓子を作るのに必要なのがスージ粉です。

  • ベサン粉(中央)
    これもお料理教室で習ったバターミルクを使ったスープの材料です。

  • ジャガリパウダー(黒砂糖)

    日本ではあまり見かけないインドのきび砂糖。

    素朴な甘さでミネラル豊富だそう。

    インドのスイーツやお料理のレシピに頻繁に登場する調味料で、粉状のものだけでなく塊として売っていて必要な分だけ溶かして使うタイプもあります。

その他のもの


念願だったものから急にどうしても欲しくなったもの、そして皆さんへのお土産などをご紹介します。

インド式圧力鍋

前述したように、パンチャカルマの治療の合間にレクリエーションとして開催されたお料理教室。

 

その中でも大活躍だったのがインド式の圧力鍋でした。

 

圧力鍋は、以前から買おうか悩みながら手が出せていなかったのですが、本体の内側から蓋を閉じる仕様で、留め金を外すと圧力がなくなっている場合は自然とフタが落ちる仕組みに感動し、ショッピングモールに行った時に購入。

 

小さなスーツケースはこの圧力鍋でかなりの面積を占有される結果になりましたが、大満足。

 

帰国後は毎日のように使ってお料理しています。

 

HAWKINS圧力鍋

ダンヴァンタリ神

ダンヴァンタリ神(धन्वन्तरिः [dhanvantariḥ])はインド神話に登場する医神で、ヴィシュヌ神の化身でありアーユルヴェーダの父とされる神。

神様大好きな私、今回アタルバ製薬でその彫像を購入しました。

身長は15cm、体重は1kgです。4本の手は

  • 円盤
    外科学の象徴。またはチャクラを表すともされる。
  • 法螺貝
    仏教では教えを広める意味。または生命力の象徴。
  • 薬草
    医学の道具を象徴。

  • 不老不死の霊薬アムリタの壺。

ダンヴァンタリ神は、神々と悪魔たちが協力して不老不死の薬「アムリタ」を作るために乳海を攪拌したとされる伝説の中で、その最後に現れた神とされています。

その為アーユルヴェーダ学では、撹拌し精製され最後に生まれたものが最も良いものとされています。

何気に重かったこの彫像。

手荷物にすると出国で止められるのでは?と心配でしたが全くのスルー。

 

リュックで背負って東京まで一緒に帰ってきました。

おみやげ

生徒の皆さんに差し上げたいと思い、ローズの石鹸と体がすべすべになるというベビー石鹸(いずれもBSTDのもの)をもっと買いたかったのですが、やや嵩張るのと重さがあるので断念。

かわりに、アタルバ製薬のハーブティー各種と「おいしい」と人気のインドの「Haldiram's」というメーカーのお菓子を。

 

特に紫の箱の方のお菓子はフルーツのフレーパーがトッピングされていて、なかなか好評でした。

ご一緒した方々とのエピソード


今回の旅は、日本から30〜40代を中心にした20名ほどの方々とご一緒した旅でした。

 

行きは24時間近く移動時間があり、また慣れない環境で、入院してすぐに体調を崩したり生理になったりする方々もおられたようです。

私と同室だったのは30代のTさん。

ストレスから適応障害を発症しお仕事をお休みされているということで、ほかにも婦人科系のご病気などたくさんのお薬持参での治療でした。

当初Tさんはなかなか睡眠もままならず、また重い便秘にも悩まされていました。

しかし後半からメキメキと元気になり、体のラインも表情も変わっていきました。

朝起きるのがつらいとおっしゃっていたのも、起きて外の庭園へお散歩に出られるまでになっていました。

 

Tさんは日本でサダナンダ先生の脈診を受けて「インドにいらっしゃい」とおっしゃっていただいたそうで、しかも今回の渡印はお一人で決めたにもかかわらず、別のイベントなどで顔見知りになった方々がたまたま4人もいらしていると喜んでいらっしゃいました。

写真:
早朝出発の私をお見送りしてくださった皆さんと。中央ブルーのサリーは夜当番のマウシー(「おばさん」の意味・日常のお世話をしてくださる方々の総称)スニータさん。

部屋割りは窓側のお部屋をTさんにお勧めしたのですが、クローゼットには可愛いピンクやすっきりしたブルーなど、少し内気なTさんがふだんは選ばないような鮮やかな色味のパンチャドレスや治療着が並び、自ずと二人ともテンションが上がりました。

 

最初こそ少し塞いだ感じも見え隠れしていたTさんでしたが、話し方や周りを気遣うやさしさなど良い面が後半どんどん顕著になり、またレクリエーションでいろいろなインド伝統のアートなどにチャレンジする中で、ご本人の中のアーティスティックな感性が刺激されたのか、部屋でもひとり精密で素敵な絵を描くようになっていきました。

 

Tさんのインドでのラッキーは最後まで続きました。

ショッピングモールをぶらぶら歩いていて、KAMAというインドの高級ブランドの化粧品のお店を見つけ、そこでたまたまTさんが以前から欲しかったものが購入できたのですが、そこにまたたまたま基礎化粧品セットがプレゼントでついてきて、しかもそれがちょうどTさんでラストの「現品限り」。

 

 

まさに至れり尽くせり。

インドの神様は、健康と元気と「女磨き」のための知恵と道具を与えるために、Tさんをインドにお招きになったのだと思います。

 

写真:
路上にカラフルな米粉でアートを描く。各家庭の主婦が家内安全と繁栄を祈願して描くのだそう。皆さんデザインセンスが高く素敵なアートがあちこちに。

正直なところ、8年前にも訪れたインド。

 

その時私にとってとても意味深い啓示をいただき、今回も何かが起こるのではないかと少し期待していました。

 

ですが実際は、「自分と向き合う心静かな旅」とは少し異なるものでした。

 

しかし、このツアーを取り仕切ってくださった佐藤真紀子先生の「自分とは全く違う体質の人がいることを知るのは、セラピストやヨガ講師などの仕事においてとても大事なことだと思う」という言葉通り、私とは年齢も性別も体質も異なるたくさんの方々とご一緒したことは、日頃一人で暮らし、一人でヨガ教室を切り盛りしている私にとってとても有意義だったと思います。

 

特に持病もない私は皆さんに「体調はどうですか?」とお聞きし、都度その解決方法を調べたりして、私なりに寄り添っているつもりになっていました。

 

けれど今回のパンチャカルマ中も、体調を崩して一緒をご一緒できなかったり、頭痛や吐き気でベットで安静にしていたり、下剤を入れてもなかなか便が出なかったり。

 

かと思うと何事もなく元気な人もいたり。

 

全く同じ食事をし、ほぼ同じ治療を受けていても、おどろくほどそれぞれに反応が違うことを目の当たりにした毎日でした。

 

ともすると健康や体というものをつい自分を基準に考えてしまいがちですが、そんなふうに単純ではないことを、想像力を持って理解しようとすることの大切さを経験できた気がします。

 

そして私自身の消化力。


実は早食いで大食い、朝から脂っこいものも平気で食べられてしまうので、あまり自分の消化力を心配していなかったのですが、今回下痢が長引くことが多く、ちょっとでも違和感のある食べ物はすぐに外に出してしまう自分の体質についても知ることができました。

 

帰国後は毎日の食事の中に消化に優しい養生食を入れるようにするなど、少し工夫してみています。

 

写真:

今回のメンバーには家族連れも。4歳のボク(左から3番目)はアイドル的存在でした。


今回の旅の記録を綴ってみました。いかがでしたでしょうか?

 

今回、周りの人たちの状態や変化を目の当たりにし、あらためてインドという国の不思議を感じています。

 

呼ばれる人しか行けない国と言われるインド。

 

またとても良い経験ができました。

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コメント: 2
  • #1

    詫摩稚千 (木曜日, 19 9月 2024 12:56)

    写真と先生のわかりやすい文で、とても興味深く読ませて頂きました!

    インドで治療?なんて修行のようにつらいのかな?と思いましたが、現地の方は、みんな優しい笑顔で、また、同行の方も、穏やかな方のようで、先生も、充実した2週間だったのですね。

    私も、インド、行ってみたい‼️
    紅茶、ハーブの香りがとても最高でした。ありがとうございます‼️

  • #2

    千枝 (金曜日, 20 9月 2024 08:05)

    ちゆきさん、ありがとうございます。
    はい、まさにおっしゃる通りで、現地の方々もご一緒した皆さんもとてもいい方ばかりで、見ず知らずの間柄で2週間もの間毎日ご一緒したのに一度たりとも嫌な気持ちになったりすることがなく、帰国してからも何人かの方々とは親しく繋がらせていただいていて、とても充実した旅になりました。

    ぜひ、インド、来たらいらしてください。
    呼ばれる日がきっと来ます��